#4 あなたの「好き」を世界に届けよう【Ray-MMD】
皆様お久しぶりです、多忙に終われ苦しんでいたえくりでぃあす(@Eclidiuth)です。
前回の記事からまたしても結構な期間が空いてしまいましたが、ついに第4弾の登場です!
今回のチュートリアルでは次のような動画を制作しますので、一緒に頑張っていきましょう。
動画が表示されない場合はこちらのリンクからYouTubeでご確認ください。
はじめに
このチュートリアルはより多くの人が自分の作りたい映像を自由に作れるようになることを目標として執筆されています。
この記事を読んだだけで綺麗な映像を作れるようなるわけではありませんが、Ray-MMD習得の一助にはなるかと思われます。
制作方法は人それぞれではありますが、一連の手順を通して私なりの方法が皆様の映像制作の参考になれば幸いです。
当記事における表記
この記事では内容を理解しやすくするために太字のテキストと背景付きのテキスト
を用いています。
太字のテキストにしているもの
重要な説明(READMEは必ず読む、規約を遵守する等)
メニューバーの項目名(アンチエイリアス、背景>アンチエイリアス等)
MMDまたはPMXEditor等におけるボタン(照明操作パネルにおける登録ボタン等)
背景付きのテキストにしているもの
ファイルおよびフォルダ名(
ray-mmd-1.5.2
、main.fx
等)MMEのエフェクト割り当てウインドウのタブ名(
Main
、MaterialMap
等)MMDの表情操作パネル等の値(
0.39
等)fxファイル内の項目名(
#define NORMAL_MAP_FROM
など)fxファイル内の値(
#define NORMAL_MAP_FROM 0
、static const float3 albedo = 0.3939;
等)
注意点
このチュートリアルでは「視覚的にどう見えるか」という点を重点において解説を進めていきます。
これは私自身が3DCGに関する専門的な知識を有していないためであり、実際に正しい情報であることは担保しかねます。
そのため、実際には異なる効果であったり、意味を持っている可能性も大いに存在します。
可能な限り正確性を高める努力はしていますが、どうしても至らない点があることはご容赦ください。
誤字・脱字について
誤字脱字には注意しながら書き進めておりますが、そうしたものが存在する場合もあります。
その際は私のTwitterアカウントまでリプライあるいはメンションを付けてお知らせください。
必要なもの
このチュートリアルでは次のものが必要なので、事前にダウンロードおよび導入を行ってください。
また、各配布物における規約を記したREADMEには必ず目を通すようお願いいたします。
(敬称略)
Step 0 最初の準備
最初にチュートリアル用フォルダと整理用のフォルダを作成することにします。
このステップは必須ではありませんが、行ったことを前提に解説を進めていきますので作成しない場合は適宜保存場所を読み替えてください。
デスクトップにRayMMDTutorials
フォルダを作成しその中にTutorial4
フォルダを作成します。
Tutorial4
フォルダ内に次の6つのフォルダを作成してください。
Step 1 モデルの編集
法線の編集
モデルには法線というものが存在し、それの向きが影の描画に影響を与えます。
初期の状態では顔の陰影が目立って少々不気味に見えるためそれを解決します。
PMXEditorを起動したら自動的に表示されるPmxViewにYYB racing miku 2022.pmx
を読み込みます。
読み込んだらPmxView左下にある青色の丸とオレンジ色の線のアイコンの2つをクリックして選択解除します。
次にメニューバーのすぐ下にある小窓のセクションにおいて絞をクリックして絞込み表示ウインドウを表示します。
頂点/材質
タブを選択し状態で材質のラジオボタンを選択し、隣にある反をクリックして一度すべての材質を非表示にします。
材質1: 顔
、2: 白目
、4: 瞳
、5: 眉毛/睫毛
の4つの材質のみにチェックを入れウインドウを閉じます。
次に顔全体が収まるようにドラッグで範囲指定をし、Pmx編集ウインドウの表示>プラグイン>User>faceforward1.2>faceforward64を選択して選択頂点の法線をZ軸方向に向けますウインドウを表示します。
中央に向ける割合の数値は80
に、バイアスは全ての値を0.0
、Z軸で前を向いているものだけを対象にするのチェックは付いた状態で実行し「nの法線を変更しました(nは変更した法線の数)」と出たらOKで閉じます。
最後にPmx編集のファイル>名前を付けて保存からYYB racing miku 2022.f80.pmx
という名前で保存します。
顔のテクスチャ変更(任意)
これは個人の好みであり必須の操作ではないので不要であれば次の操作に移っても大丈夫です。
初期の状態では目の下あたりが少し赤らんだようになっていますが、私はそうでない方が好みなのでテクスチャを変更します。
Pmx編集ウインドウで材質タブを選択しリストから材質1:顔
を選択しテクスチャ/メモとある場所のTexというテキスト右にある水色の四角形をクリックしてTexViewウインドウを開きます。
TextViewウインドウのメニューバーのファイル>テクスチャ読み込みからYYB racing miku 2022/tex
にあるskin.png
を開きファイル>現在のテクスチャへ変更をクリックしPmxViewでテクスチャが変更されていることを確認します。
テクスチャの半透明部分を不透明にする
Ray-MMDはver1.5.2
時点において半透明なテクスチャを扱うことが苦手です。
半透明部分と発光を表現するEmissive
なRay-MMDが重なると描画が変になってしまうのです。
そのため、ここではツインテール部分のテクスチャの半透明部分を不透明にします。
今回編集するのはモデルのtex
フォルダに入っているHair02.png
ですが、好きな画像編集ソフトで構いません。
私は最も手軽と思えるWindows標準の「ペイント」ソフトを使用することにします。
まず「ペイント」ソフトでHair02.png
を読み込み単に上書き保存をします。
次にPmx編集ウインドウで材質タブを選択し、リストにある材質28 :髪
をクリックし選択します。
テクスチャ/メモとある場所のTexというテキスト右にある水色の四角形をクリックしてTexViewウインドウを開きます。
TextViewウインドウのメニューバーのファイル>テクスチャ読み込みからYYB racing miku 2022/tex
にあるHair02.png
を開きファイル>現在のテクスチャへ変更をクリックしPmxViewでテクスチャが変更されていることを確認します。
AutoLuminous用の設定
Step 5で瞳と白目部分の明るさを調整するためにAutoLuminousというエフェクトを使用します。
その際少しだけPMXEditorでモデルを編集する必要があるのですが、ここで済ませておきましょう。
Pmx編集ウインドウの材質タブで材質2 :白目
と4 :瞳
をCtrlキーで同時選択し、右側にある反射強度の値を110に設定したらYYB racing miku 2022.f80.pmx
という名前で上書き保存しましょう。
この操作で瞳と白目にAutoLuminousの効果を適応させることが可能になりました。
Step 2 Ray-MMDを読み込む
このStepではRay-MMDの読み込みとSkybox、ステージ、モデル等の設定を行います。
まずMMDを起動しRay-MMDの本体であるray-mmd-1.5.2/ray.x
をドラッグ&ドロップします。
読み込みが完了するとビューポートが黒くなるのでメニューバーの表示>アンチエイリアスをオフにし背景を白に戻します。
Skyboxを読み込む
モデルを全周囲から照らすためにSkyboxを読み込みます。
今回はSky Hemisphere
というSkyboxを使用するのでray-mmd-1.5.2/Skybox/Sky Hemisphere
にあるSky with box.pmx
を読み込み、メニューバー右側にあるMMEffectからエフェクト割り当てウインドウを開きます(以降MMEのウインドウと表記)
MMEのウインドウでMaterialMap
タブを選択しSky with box.pmx
に割り当てられているfxファイルを確認します。
通常であればray-mmd-1.5.2\Materials
にあるmaterial_skybox.fx
が自動的に割り当てられていますが、まれにmaterial_2.0.fx
になっていることもあるので注意してください。
次にEnvLightMap
タブでSky with box.pmx
に対しSky Hemisphere
にあるSky with lighting.fx
を割り当てます。
これによりモデルが全周囲から照らされるようになります。
Skyboxの設定
ここで軽くSkyboxの値の調整を行います。
初期の状態ではSkyboxによるライトでモデルが明るくなりすぎるので明るさを下げます。
Skybox
ステージを読み込む
ライトとスクリーンまとめ
にある箱.pmx
を読み込んだらMMEのウインドウでMain
タブを選択し箱.pmx
にray-mmd-1.5.2/Main
にあるmain.fx
を割り当てます。
次にMaterialMap
タブで箱.pmx
にray-mmd-1.5.2/Materials
にあるmaterial_2.0.fx
を割り当てます。
割り当てたら座標軸は不要なのでMMDのウインドウ右上にある座標軸ボタンをクリックして非表示にしましょう。
モデルを読み込む
Step 1で用意したYYB racing miku 2022.f80.pmx
を読み込みます。
MMEウインドウのMain
タブでYYB racing miku 2022.f80.pmx
に対しray-mmd-1.5.2/Main
にあるmain_ex_with_sphmap.fx
を割り当てます。
先ほどステージに割り当てたmain.fx
とmain_ex_with_sphmap.fx
の違いですが、前者はモデルに設定されたスフィアを使用しないのに対して、後者は使用するようになっています。
今回のモデルでは髪やスーツにスフィアが用いられているためmain_ex_with_sphmap.fx
を使用します。
ray_controllerを読み込む
最後にray-mmd-1.5.2
にあるray_controller.pmx
を読み込みましょう。
ray_controllerを使用することで照明操作パネルのライトの影の濃さや彩度等を調整できます。
各項目を設定するごとに登録ボタンで設定を登録することを忘れないでください。
また、今後数値を変更する際はボーン操作パネルの選択ボタンが必ず選択解除されているようにしてください。
選択が有効な状態では影が描画されず本来の描画とは異なるものになってしまいます。
ray_controller
Step 3 マテリアル割り当て
このStepではモデルとステージにマテリアルを割り当てていきます。
モデルのマテリアル割り当て
MMEのウインドウでMaterialMap
タブのYYB Racing Miku 2022.f80.pmx
を右クリックしサブセット展開します。
サブセット展開を行うことでモデルの各材質ごとに異なるマテリアルを割り当てられるようになります。
髪のマテリアル設定
まずはMaterialMap
タブにて材質25: 髪1
、26: 髪2
、28: 髪3
に対してray-mmd-1.5.2/Materials/Editor/Anisotropic
にあるmaterial_aniso__1.fx
を割り当てます。
次にray-mmd-1.5.2\Materials\Editor\Anisotropic
にあるmaterial_aniso_1.pmx
を読み込みます。
次の表に従い値を設定し、各項目を変更するごとに登録ボタンをクリックし変更を登録するよう注意してください。
Aniso_1
肌のマテリアル設定
MaterialMap
タブにて材質0: 体
と1: 顔
それぞれに対してMMEのウインドウでray-mmd-1.5.2/Materials/Editor/Skin
にあるmaterial_skin__1.fx
とmaterial_skin__2.fx
を割り当てます。
次にray-mmd-1.5.2\Materials\Editor\Skin
にあるmaterial_skin_1.pmx
とmaterial_skin_2.pmx
を読み込みます。
Skin_1
Skin_2
服のマテリアル設定
MaterialMap
タブにて材質9: 靴
と11: スーツ
にray-mmd-1.5.2/Materials/Editor/Cloth
にあるmaterial_cloth__1.fx
を、材質14: スウェット
に対してmaterial_cloth__2.fx
を割り当てます。
次にray-mmd-1.5.2\Materials\Editor\Cloth
にあるmaterial_cloth_1.pmx
とmaterial_cloth_2.pmx
を読み込みます。
Cloth_1
Cloth_2
ステージのマテリアル割り当て
MaterialMap
タブで箱.pmx
に対してray-mmd.1.5.2/Materials/Editor/Standard
にあるmaterial_editor__1.fx
を割り当てたらmaterial_editor_1.pmx
を読み込み次の表の通りに値を設定、登録します。
Editor_1
Step 4 ライティング
照明操作
まずは照明操作パネルでMMDのライトの調整を行います。
次の表の通りに値を設定し、登録ボタンで登録を忘れないよう注意してください。
また、値の設定と登録が完了したらメニューバーの表示>モデル編集時カメラ・照明追従をオンにします。
照明操作
DirectionalLight
ray-mmd-1.5.2/Lighting
にあるDirectionalLight
を読み込み表の通りに値を設定します。
角度Xの値を変更した際はボーン操作パネルの登録ボタンをクリックしてください。
DirectionalLight
影を描画する
初期の状態ではDirectionalLightの影は出ないので、影が出るように設定しましょう。
MMEのウインドウでLightMap
タブを選択しDirectionalLight.pmx
に対しray-mmd-1.5.2/Lighting/DirectionalLight/Default
にあるdirectional_lighting_with_shadow.fx
を割り当てます。
これでモデルにDirectionalLightによる影が描画されるようになりましたね。
もし影が表示されない場合はボーン操作パネルの選択ボタンが選択されていないか確認し、選択解除状態にしてください。
SpotLight
次にモデルを後ろから照らしブルームを表現するためにSpotLightを読み込みます。
ray-mmd-1.5.2/Lighting
にあるSpotLight.pmx
を読み込み表の通りに値を設定します。
ボーン位置X~角度Zまで値を設定したらボーン操作パネルの登録ボタンで変更を登録しましょう。
他の項目については表情操作パネルの登録ボタンを各項目を設定するごとにクリックします
SpotLight
影を描画する
SpotLightも初期の状態ではDirectionalLight同様影は出ないので、影が出るように設定しましょう。
MMEのウインドウでLightMap
タブを選択しDirectionalLight.pmx
に対しray-mmd-1.5.2\Lighting\SpotLight\Default
にあるspot_lighting_with_shadow_very_high.fx
を割り当てます。
もし重い場合はspot_lighting_with_shadow_low.fx
を割り当ててみてください。
追加のDirectionalLight
これはちょっとした小技ですが、服の黒い部分に割り当てたmaterial_cloth__2.fx
を調整するCloth_2でsmoothness
の値を0.640
に設定したためRay-MMDのライトを反射して光の筋のようなものが描画されています。
試しにモデル操作パネルでDirectionalLightを選択し同パネル内にある表示のチェックを外してみます。
するとDirectionalLightの光の反射がなくなったことがわかりますね。
ここでは追加のDirectionalLightを読み込み光の筋をもう1本増やしてみることにします。
ray-mmd-1.5.2/Lighting
にあるDirectionalLight.pmx
を読み込み次の表通りに値を設定します。
DirectionalLight
これで先ほどよりもスーツの光沢感が上がりましたね。
影を描画する
最初に読み込んだDirectionalLight同様影が描画されるよう設定しましょう。
LightMap
タブを選択しDirectionalLight.pmx
に対しray-mmd-1.5.2/Lighting/DirectionalLight/Default
にあるdirectional_lighting_with_shadow.fx
を割り当てます。
これでモデルにSpotLightによる影が描画されるようになりました。
影が表示されない場合はボーン操作パネルの選択ボタンが選択されていないか確認し、選択状態を解除してください。
Step 5 瞳と白目の調整
Step 4にてDirectionalLightで影を描画するようにしたため白目部分に影ができてしまっています。
ここではAutoLuminousというエフェクトを使用して瞳と白目の明るさを調整することにします。
瞳の調整
まずAutoLuminous4
にあるAutoLuminous.x
を読みこみます。
初期の状態ではあまりにも眩しいためアクセサリ操作パネルで値を調整します。
値を設定したら登録ボタンで変更を登録するのを忘れないでください。
白目の調整
次に白目の調整を行うためAutoLuminous.x
をもうひとつ読みこみ表通りに設定します。
現在の状態では2つのAutoLuminousの効果がが瞳と白目に二重にかかっているのでそれを解決します。
今回はひとつめのAutoLuminousは瞳用、ふたつめは白目用のものとします。
まずMMEのウインドウでひとつめのAL_EmitterRT
タブで材質2: 白目
をダブルクリックしfxファイルを割り当てるウインドウでAutoLuminous4\Options
に移動し開くボタンの上にあるセレクトボックスでfxファイルを全てのファイルに切り替えてfxファイル以外も表示するようにします。
するとAL_BlackMask.fxsub
というファイルが見つかるのでこれを選択して割り当てます。
同様の手順でふたつめのAL_EmitterRT
タブで材質4: 瞳
にAL_BlackMask.fxsub
を割り当てます。
アクセサリ順の並び替え
現在はRay-MMDの後にAutoLuminousの効果がかかっているため少々明るすぎる気がします。
また、現在のアクセサリ順では暗所なのにAutoLuminousの効果がかかっている部分だけ明るすぎて浮くといった現象が起こることがあるのでそういった問題を解決/予防します。
メニューバーの背景>アクセサリ編集で2つあるAutoLuminous.xをray.xの上に移動させます。
次の順になっていれば大丈夫です(AutoLuminousはどっちが上でもOK)
白目のSSAOを消す
最後にSSAOMap
タブで材質2: 白目
にray-mmd-1.5.2\Shadow
にあるSSAO visibility 0.0.fx
を割り当てます。
あまり変わりないですが、多少白目が暗くなくなりましたね。
Step 6 ステージの用意
ここからはステージにライトやスクリーン、モニタの枠を配置していきます。
まずはライトとスクリーンまとめ/ライト
にある横ライト2.pmx
を読み込み次の表通りに設定します。
それが終わったらMaterialMap
タブで横ライト2.pmx
にはray-mmd-1.5.2\Materials\Emissive\Fixed Color x1
にあるmaterial_albedo_x1.fx
を割り当てます。
横ライト2
次にライトとスクリーンまとめ\モニタオブジェ\配置
にある▽モニタオブジェ.pmx
を読み込みます。
これは枠だけなので同フォルダにある▽モニタオブジェ_スクリーン(AL104).x
も読み込みましょう。
そうしたら、メニューバーの背景>ON・モード1を選択しスクリーンが映っていることを確認します。
次にステージ反対側に大きいモニタを配置していきます。
ライトとスクリーンまとめ\モニタ
にある大モニタ枠.pmx
を読み込み表通りに設定します。
大モニタ枠
次に同フォルダ内にある大モニタ_スクリーン(AL103).x
を読み込み表通りに設定します。
アクセサリの数値はモデル操作パネルでカメラ・照明・アクセサリを選択した際に右側にあるアクセサリ操作パネルで設定し、数値を変更したら登録ボタンをクリックするのを忘れないでください。
大モニタ_スクリーン(AL103)
影を正常に描画させる
現時点では横ライト2やモニタオブジェの影がグレーになっており、影が正常に描画されていません。
これはMain
タブで適切なfxファイルを割り当てていないためなのでMMEのウインドウを開きましょう。
Main
タブを選択し横ライト2.pmx
、▽モニタオブジェ.pmx
、▽大モニタ枠
にmain.fx
を割り当てます。
これで影が正常に描画されるようになりましたね。
Step 7 Fogの読み込み
Ray-MMDのライト同様フォグにも様々な種類がありますが今回は2種類のFogを使用することにします。
私自身まだFogにはあまり詳しくないのですが、これを用いることで空気感の表現等が可能になります。
AtmosphericFog
このFogは広い範囲にかかるもので全体にFogをかけたい場合に用いることができます。
ray-mmd-1.5.2/Fog
にあるAtmosphericFog.pmx
を読み込み次の表の通りに値を設定します。
AtmosphericFog
VolumetricCube
このFogはWidth、Height、Depthで指定した範囲にFogをかけることができます。
局所的にFogをかけたい場合に役立つでしょう。
ray-mmd-1.5.2/Fog
にあるVolumetricCuve.pmx
を読み込み次の表の通りに値を設定します。
ボーン位置Zを設定した際はボーン操作パネルで登録してください。
VolumetricCube
Step 8 雰囲気を作る
このステップでは一気に「っぽい」雰囲気を作っていきます。
その前にまずはStep 3で箱.pmx
に割り当てたmaterial_editor__1.fx
を少し書き換えます。
お好きなテキストエディタ(私はVS Code使用)でray-mmd-1.5.2\Materials\Editor\Standard
にあるmaterial_editor__1.fx
を開いたら83行目を次のように書き換えます。
これによりステージが若干暗くなりましたね。
書き換え前
書き換え後
ステージに風景を反射させる
Ray-MMDにはScreen Space Reflectionという機能があり、これを利用することで風景の反射が可能になります。
ただ仕組み的にモデルの裏側や見えていない部分を反射はしませんが雰囲気づくりには十分でしょう。
デフォルトでは無効になっているのでRay-MMDの設定ファイルであるray.conf
を書き換えます。
その前にここまでのデータをpmmファイルとして適当な名前で保存しておきましょう。
ray.confを書き換える
ray.conf
はray-mmd-1.5.2
フォルダにあり、今回書き換えるのは58行目となります。
今回は最もサンプル数の高い3
にしますが、もし負荷が重い場合は1
でも構いません。
書き換え前
書き換え後
床にモデルを反射させる
ray.conf
を書き換え風景が反射するようになりましたがモデルはほとんど反射していません。
先述したようにSSRには限界があるので今回はWorkingFloorAL_v007
を用いてそれっぽく見えるようにしましょう。
WorkingFloorAL_v007
にあるWorkingFloorAL.x
を読みこみます。
初期の状態ではRay-MMDの効果がかかっている上部分とそうでない反射部分の差が目立つので反射を下げます。
アクセサリ操作パネルでTr
の値を0.20
にし登録ボタンで変更を登録しましょう。
Step 9 LiteDOFを使う
今回はDOFエフェクトとしてLiteDOFを用いることにします。
Ray-MMDにもDOFはありますが過去の記事で使ったのでたまには他のを使うのもよいでしょう。
LiteDOF_v3
にあるLiteDOF.x
とLiteDOFCtrl.pmx
を読み込み次の表の通りに値を設定します。
また、LiteDOF.xのSi
の値は2.000
にしぼかしを強くします。
LiteDOF ctrl
Step 10 不要な物体の非表示
このStepまでに様々なライトやFog、LiteDOFのコントローラ等を読み込みましたが画面に映っている必要はありませんね。
このステップではそれらを非表示にしていきます。
追加光源の非表示
DirectionalLightやSpotLightを追加した際に表示される球はMain
タブとMaterialMap
タブの両方でチェックを外すと非表示にすることができます。
ただそれだけではそれら球体の影は描画されたままなのでPSSM1
~PSSM4
タブでも同様にDirectinalLight.pmx
が2つ、SpotLight
のチェックを外すことを忘れないでください。
他の物体の非表示
Ray-MMDの追加光源以外にはRay-MMDのFogやLiteDOFのコントローラが描画不要ですね。
こちらも追加光源と同様にMain
タブとMaterialMap
タブの両方でチェックを外せば非表示にできます。
AtomosphericFog.pmx
、VolumetricCube.pmx
、LiteDOFCtrl.pmx
が該当します。
不要な物体の反射を非表示にする
WorkingFloorが反射している部分をよく見ると色々と不要な物体が映っていることが分かりますね。
これらはWorkingFloorRT
タブでチェックを外すことで非表示にすることができます。
DirectinalLight.pmx
、SpotLight
、AtomosphericFog.pmx
、VolumetricFog.pmx
、LiteDOFCtrl.pmx
が該当します。
モデルの髪影と輪郭線を消す
前髪の髪影は不要なので消してしまいましょう。
またカメラをモデルに近づけると分かりますがモデルの輪郭だけLiteDOFのぼかし効果がかかっていませんね。
次の表の通りに値を設定します。
YYB式初音ミク
Step 11 モーション読み込みと修正
モデル操作パネルでYYB式初音ミクに切り替えGETCHA!_足太ぺんたさん振付フルVer/GETCHA!
にあるGETCHA.vmd
、カメラ.vmd
、リップ_miku(えモーフあり).vmd
、表情視線.vmd
を読み込みます。
次に自身で用意した.wav
音楽ファイルを読み込んだら試しに300フレームあたりまで再生してみましょう。
LiteDOFの修正
はい、すぐに気が付くでしょうがLiteDOFが明らかにおかしいですね。
これは0
フレームに移動した後にアクセサリ操作パネルでLiteDOF.x
の地面とある所をYYB式初音ミク
にし自動的に操作中心
になる所を頭
にするとちょうどいい感じになってくれます。
登録ボタンを忘れずクリックし今度は試しに600フレームまで再生してみましょう。
PSSMのチェックを外す
よく見ると500フレームあたりからモデルに影がかかっているように見えますね。
これはステージ反対側にある大モニタ枠.pmx
の影が原因なのでMMEのウインドウでPSSM1
とPSSM2
タブの両方で大モニタ枠.pmx
のチェックを外して影ができなくなるようにしてあげましょう。
なお、PSSM1
~PSSM4
タブは右の方にもう1セットあるのでそちらのPSSM1
~PSSM2
のチェックも外しましょう。
Step 4で追加したDirectionalLight2つ、SpotLightのチェックも各PSSMタブで外しておきましょう。。
モデルの動きにSpotLightを追従させる
何度も再生からの修正をさせてしまうのも申し訳ないので、これの確認は好きな人だけで大丈夫です。
1350フレームあたりから前に歩く際に頭上にあるSpotLightの光が頭にあまり当たらなくなっていますね。
これはSpotLightを外部親機能でモデルに追従させていないためなのでその設定を行います。
0
フレームに移動したらモデル操作パネルでSpotLightを選択し登録ボタンのすぐ上にある外ボタンをクリックします。
外部親設定ウインドウを開いたら対象ボーンは光源位置であることを確認し、外部親モデルはYYB式初音ミク、外部親ボーンはグルーブでウインドウの登録ボタンをクリックします。
もし外部親を設定した後にボーン位置と角度の値が全て0になってしまう場合はStep 5にある数値を再設定、登録します。
最後に通しで大体頭にライトが当たり続けていることを確認できたら次のStepに進みましょう!
Step 12 MotionBlur3を読み込む
このエフェクトは結構重いので読み込みは任意となります。
モーションブラーがあると個人的にお洒落に見えるので余裕があるのなら使ってみると良いかもしれません。
MotionBlur3
にあるMotionBlur.x
を読み込んだらアクセサリ操作パネルでSi
の値を0.5
に設定します。
再生し、これでモーションブラーがかかっていれば大丈夫です。
Step 13 アクセサリとモデルの並び替え
最後に後で編集しやすいようにアクセサリとモデルの順番を並び替えておきましょう。
メニューバーの背景に並び替えるための項目が存在します
アクセサリ編集の順番
AutoLuminous
AutoLuminous
ray.x
▽モニタオブジェ_スクリーン
大モニタ_スクリーン(AL103).x
WorkingFloorAL.x
LiteDOF.x
MotionBlur.x
モデル描画順/モデル計算順
Skybox
箱
大モニタ枠
モニタオブジェ
横ライト2
YYB式初音ミクレーシング2022
Aniso_1
Cloth_1
Cloth2
Editor_1
Skin_1
Skin_2
AtmosphericFog
VolumetricCube
DirectionalLight
SpotLight
DirectionalLight
LiteDOF ctrl
ray_controller
Step 14 映像出力
メニューバーのファイル>AVIファイルに出力から保存場所を選択します。
私はStep 0で作成したexports
フォルダに保存しますが好きな場所で構いません。
場所を選択すると自動で表示されるAVI出力設定ウインドウで各種設定を行います。
録画サイズは映像の解像度でメニューバーの表示>出力サイズで変更できます。
フレームレートは好きな値でよく、私は60
にしますが負荷が心配な場合は30
が良いでしょう。
録画フレームの値は0
から最終フレームの6879
となります。
WAVE出力にはチェックを付けた状態でビデオ圧縮コーデックはUtVideo YUV420 BT.709 DMO
にします。
他に好きなものがある場合はそれでも構いませんし、もし見つからない場合は下記のサイトからダウンロードしましょう。
http://umezawa.dyndns.info/wordpress/?p=7940
全て設定が出来たらOKボタンで出力が始まるので終わるのを待ち、完了したら問題がないか確認してみましょう。
おわりに
いつも思いますがよくやたらと長い記事を読めますね、そんなあなたを本当に尊敬しています。
Ray-MMDのFogを使ったのは今回が初めてなのでフルに活かせてはいませんが、上手く使いこなせればかなり良い空気感のある映像を作れるようになると思うので色々挑戦してみてくださいね。
次回は未定ですがそろそろパーティクルとフォグを使った空気感の演出に挑戦してみたいなと。
今年はあと2本ぐらい記事を書きたいと思っているので引き続き応援を頂けると嬉しいです。
私はあなたが自分の作りたいものを自由に作れるようになることを応援しています🥳
応援してくださる皆様に最大限の感謝を
6月の間にYouTubeでチャンネル登録者300人、初の再生数3939回、再生数4000回を達成できました!
登録者100人を突破したことでYouTubeでカスタムURLを使えるようになって非常に嬉しい...
輝かしいURL → https://www.youtube.com/c/Eclidiuth
最終更新