#4 あなたの「好き」を世界に届けよう【Ray-MMD】
前回の記事からまたしても結構な期間が空いてしまいましたが、ついに第4弾の登場です!
今回のチュートリアルでは次のような動画を制作しますので、一緒に頑張っていきましょう。
このチュートリアルはより多くの人が自分の作りたい映像を自由に作れるようになることを目標として執筆されています。
この記事を読んだだけで綺麗な映像を作れるようなるわけではありませんが、Ray-MMD習得の一助にはなるかと思われます。
制作方法は人それぞれではありますが、一連の手順を通して私なりの方法が皆様の映像制作の参考になれば幸いです。
この記事では内容を理解しやすくするために太字のテキストと
背景付きのテキスト
を用い ています。太字のテキストにしているもの
- 1.重要な説明(READMEは必ず読む、規約を遵守する等)
- 2.メニューバーの項目名(アンチエイリアス、背景>アンチエイリアス等)
- 3.MMDまたはPMXEditor等におけるボタン(照明操作パネルにおける登録ボタン等)
背景付きのテキストにしているもの
- 1.ファイルおよびフォルダ名(
ray-mmd-1.5.2
、main.fx
等) - 2.MMEのエフェクト割り当てウインドウのタブ名(
Main
、MaterialMap
等) - 3.MMDの表情操作パネル等の値(
0.39
等) - 4.fxファイル内の項目名(
#define NORMAL_MAP_FROM
など) - 5.fxファイル内の値(
#define NORMAL_MAP_FROM 0
、static const float3 albedo = 0.3939;
等)
このチュートリアルでは「視覚的にどう見えるか」という点を重点において解説を進めていきます。
これは私自身が3DCGに関する専門的な知識を有していないためであり、実際に正し い情報であることは担保しかねます。
そのため、実際には異なる効果であったり、意味を持っている可能性も大いに存在します。
可能な限り正確性を高める努力はしていますが、どうしても至らない点があることはご容赦ください。
誤字脱字には注意しながら書き進めておりますが、そうしたものが存在する場合もあります。
その際は私のTwitterアカウントまでリプライあるいはメンションを付けてお知らせください。
必要なもの
このチュートリアルでは次のものが必要なので、事前にダウンロードおよび導入を行ってください。
また、各配布物における規約を記したREADMEには必ず目を通すようお願いいたします。
(敬称略)
配布物 | 制作者 | 配布先URL |
MikuMikuDance_v932x64 | 樋口M | |
MMEffect_x64_v037 | 舞力介入P | |
PmxEditor_0257 | 極北P | |
選択頂点の法線をZ軸方向に向けます。1.2 | 大葉真琴 | |
ray-mmd-1.5.2 | Rui | |
LiteDOF_v3 | akeru | |
WorkingFloorAL_v007 | 針金P | |
MotionBlur3 | そぼろ | |
AutoLuminous4 | そぼろ | |
YYB racing miku 2022 | YYB & Pilou La Baka | |
GETCHA!_足太ぺんたさん振付フルVer | apr(社会の窓P) | |
ライトとスク リーンまとめ | 伊達の犬。 |
最初にチュートリアル用フォルダと整理用のフォルダを作成することにします。
このステップは必須ではありませんが、行ったことを前提に解説を進めていきますので作成しない場合は適宜保存場所を読み替えてください。
デスクトップに
RayMMDTutorials
フォルダを作成しその中にTutorial4
フォルダを作成します。Tutorial4
フォルダ内に次の6つのフォルダを作成してください。フォルダ名 | 配置しておくもの | 用途 |
effects | ray-mmd-1.5.2, LiteDOF_v3, AutoLuminous4, WorkingFloorAL_v007, MotionBlur3 | MMEエフェクトを配置 |
exports | なし | 出力画像/動画を保存 |
models | つみ式ミクさんv2.1 | モデルデータを配置 |
motions | GETCHA!のモーション | モーションデータを配置 |
music | GETCHA!の音楽(.wav)ファイル | 音源データを配置 |
pmm | なし | pmmファイルを保存 |
stages | ライトとスクリーンまとめ | ステージ等を保存 |
モデルには法線というものが存在し、それの向きが影の描画に影響を与えます。
初期の状態では顔の陰影が目立って少々不気味に見えるためそれを解決します。
PMXEditorを起動したら自動的に表示されるPmxViewに
YYB racing miku 2022.pmx
を読み込みます。読み込んだらPmxView左下にある青色の丸とオレンジ色の線のアイコンの2つをクリックして選択解除します。
次にメニューバーのすぐ下にある小窓のセクションにおいて絞をクリックして絞込み表示ウインドウを表示します。
頂点/材質
タブを選択し状態で材質のラジオボタンを選択し、隣にある反をクリックして一度すべての材質を非表示にします。材質
1: 顔
、2: 白目
、4: 瞳
、5: 眉毛/睫毛
の4つの材質のみにチェックを入れウインドウを閉じます。次に顔全体が収まるようにドラッグで範囲指定をし、Pmx編集ウインドウの表示>プラグイン>User>faceforward1.2>faceforward64を選択して選択頂点の法線をZ軸方向に向けますウインドウを表示します。
中央に向ける割合の数値は
80
に、バイアスは全ての値を0.0
、Z軸で前を向いているものだけを対象にするのチェックは付いた状態で実行し「nの法線を変更しました(nは変更した法線の数)」と出たらOKで閉じます。最後にPmx編集のファイル>名前を付けて保存から
YYB racing miku 2022.f80.pmx
という名前で保存します。これは個人の好みであり必須の操作ではないので不要であれば次の操作に移っても大丈夫です。
初期の状態では目の下あたりが少し赤らんだようになっていますが、私はそうでない方が好みなのでテクスチャを変更します。
Pmx編集ウインドウで材質タブを選択しリストから材質
1:顔
を選択しテクスチャ/メモとある場所のTexというテキスト右にある水色の四角形をクリックしてTexViewウインドウを開きます。TextViewウインドウのメニューバーのファイル>テクスチャ読み込みから
YYB racing miku 2022/tex
にあるskin.png
を開きファイル>現在のテクスチャへ変更をクリックしPmxView でテクスチャが変更されていることを確認します。Ray-MMDはver
1.5.2
時点において半透明なテクスチャを扱うことが苦手です。半透明部分と発光を表現する
Emissive
なRay-MMDが重なると描画が変になってしまうのです。そのため、ここではツインテール部分のテクスチャの半透明部分を不透明にします。
今回編集するのはモデルの
tex
フォルダに入っているHair02.png
ですが、好きな画像編集ソフトで構いません。私は最も手軽と思えるWindows標準の「ペイント」ソフトを使用することにします。
まず「ペイント」ソフトで
Hair02.png
を読み込み単に上書き保存をします。次にPmx編集ウインドウで材質タブを選択し、リストにある材質
28 :髪
をクリックし選択します。テクスチャ/メモとある場所のTexというテキスト右にある水色の四角形をクリックしてTexViewウインドウを開きます。
TextViewウインドウのメニューバーのファイル>テクスチャ読み込みから
YYB racing miku 2022/tex
にあるHair02.png
を開きファイル>現在のテクスチャへ変更をクリックしPmxViewでテクスチャが変更されていることを確認します。Step 5で瞳と白目部分の明るさを調整するためにAutoLuminousというエフェクトを使用します。
その際少しだけPMXEditorでモデルを編集する必要があるのですが、ここで済ませておきましょう。
Pmx編集ウインドウの材質タブで材質
2 :白目
と4 :瞳
をCtrlキーで同時選択し、右側にある反射強度の値を110に設定したらYYB racing miku 2022.f80.pmx
という名前で上書き保存しましょう。この操作で瞳と白目にAutoLuminousの効果を適応させることが可能になりました。
このStepではRay-MMDの読み込みとSkybox、ステージ、モデル等の設定を行います。
まずMMDを起動しRay-MMDの本体である
ray-mmd-1.5.2/ray.x
をドラッグ&ドロップします。読み込みが完了するとビューポートが黒くなるのでメニューバーの表示>アンチエイリアスをオフにし背景を白に戻します。

モデルを全周囲から照らすためにSkyboxを読み込みます。
今回は
Sky Hemisphere
というSkyboxを使用するのでray-mmd-1.5.2/Skybox/Sky Hemisphere
にあるSky with box.pmx
を読み込み、メニューバー右側にあるMMEffectからエフェクト割り当てウインドウを開きます(以降MMEのウインドウと表記)MMEのウインドウで
MaterialMap
タブを選択しSky with box.pmx
に割り当てられているfxファイルを確認します。通常であれば
ray-mmd-1.5.2\Materials
にあるmaterial_skybox.fx
が自動的に割り当てられていますが、まれにmaterial_2.0.fx
になっていることもあるので注意してください。次に
EnvLightMap
タブでSky with box.pmx
に対しSky Hemisphere
にあるSky with lighting.fx
を割り当てます。これによりモデルが全周囲から照らされるようになります。
Skyboxの設定
ここで軽くSkyboxの値の調整を行います。
初期の状態ではSkyboxによるライトでモデルが明るくなりすぎるので明るさを下げます。
Skybox
項目名 | 設定値 | 説明 |
EnvDiffLight- | 0.610 | Skyboxのライトによる明るさを下げる |
ライトとスクリーンまとめ
にある箱.pmx
を読み込んだらMMEのウインドウでMain
タブを選択し箱.pmx
にray-mmd-1.5.2/Main
にあるmain.fx
を割り当てます。次に
MaterialMap
タブで箱.pmx
にray-mmd-1.5.2/Materials
にあるmaterial_2.0.fx
を割り当てます。割り当てたら座標軸は不要なのでMMDのウインドウ右上にある座標軸ボタンをクリックして非表示にしましょう。

Step 1で用意した
YYB racing miku 2022.f80.pmx
を読み込みます。MMEウインドウの
Main
タブでYYB racing miku 2022.f80.pmx
に対しray-mmd-1.5.2/Main
にあるmain_ex_with_sphmap.fx
を割り当てます。
先ほどステージに割り当てた
main.fx
とmain_ex_with_sphmap.fx
の違いですが、前者はモデルに設定されたスフィアを使用しないのに対して、後者は使用するようになっています。今回のモデルでは髪やスーツにスフィアが用いられているため
main_ex_with_sphmap.fx
を使用します。最後に
ray-mmd-1.5.2
にあるray_controller.pmx
を読み込みましょう。ray_controllerを使用することで照明操作パネルのライトの影の濃さや彩度等を調整できます。
各項目を設定するごとに登録ボタンで設定を登録することを忘れないでください。
また、今後数値を変更する際はボーン操作パネルの選択ボタンが必ず選択解除されているようにしてください。
選択が有効な状態では影が描画されず本来の描画とは異なるものになってしまいます。
ray_controller
項目名 | 設定値 | 説明 |
SunShadowV- | 0.530 | 照明操作パネルのライトの影の濃さを調整する |
BloomThreshold | 0.170 | ブルームがかかる閾値を調整する |
BloomColorAllV- | 0.940 | ブルームの明るさを調整する(下げる) |
Saturation+ | 0.700 | 彩度を調整する |

このStepではモデルとステージにマテリアルを割り当てていきます。
MMEのウインドウで
MaterialMap
タブのYYB Racing Miku 2022.f80.pmx
を右クリックしサブセット展開します。サブセット展開を行うことでモデルの各材質ごとに異なるマテリアルを割り当てられるようになります。
まずは
MaterialMap
タブにて材質25: 髪1
、26: 髪2
、28: 髪3
に対してray-mmd-1.5.2/Materials/Editor/Anisotropic
にあるmaterial_aniso__1.fx
を割り当てます。次に
ray-mmd-1.5.2\Materials\Editor\Anisotropic
にあるmaterial_aniso_1.pmx
を読み込みます。次の表に従い値を設定し、各項目を変更するごとに登録ボタンをクリックし変更を登録するよう注意してください。
Aniso_1
項目名 | 設定値 | 説明 |
AlbedH | 0.460 | HSVのHを調整する |
AlbedS | 0.250 | HSVのSを調整する |
AlbedV | 0.550 | HSVのVを調整する |
Smoothness | 0.540 | なめらかさを上げる |

MaterialMap
タブにて材質0: 体
と1: 顔
それぞれに対してMMEのウインドウでray-mmd-1.5.2/Materials/Editor/Skin
にあるmaterial_skin__1.fx
とmaterial_skin__2.fx
を割り当てます。次に
ray-mmd-1.5.2\Materials\Editor\Skin
にあるmaterial_skin_1.pmx
とmaterial_skin_2.pmx
を読み込みます。Skin_1
項目名 | 設定値 | 説明 |
AlbedH | 0.060 | HSVのHを調整する |
AlbedS | 0.300 | HSVのSを調整する |
Smoothness | 0.370 | なめらかさを上げる |

Skin_2
項目名 | 設定値 | 説明 |
AlbedH | 0.060 | HSVのHを調整する |
AlbedS | 0.250 | HSVのSを調整する |

MaterialMap
タブにて材質9: 靴
と11: スーツ
にray-mmd-1.5.2/Materials/Editor/Cloth
にあるmaterial_cloth__1.fx
を、材質14: スウェット
に対してmaterial_cloth__2.fx
を割り当てます。次に
ray-mmd-1.5.2\Materials\Editor\Cloth
にあるmaterial_cloth_1.pmx
とmaterial_cloth_2.pmx
を読み込みます。
Cloth_1
項目名 | 設定値 | 説明 |
AlbedV | 0.390 | スーツと靴を黒くする |
SpecularV+ | 1.000 | スーツと靴の光の反射を強くする |
Smoothness | 0.650 | スーツと靴をつやつやにする |

Cloth_2
項目名 | 設定値 | 説明 |
AlbedV | 0.140 | スウェットの明るさを少し下げる |
SpecularV+ | 1.000 | スウェットの光の反射を強くする |
Smoothness | 0.650 | スウェットをつやつやにする |

MaterialMap
タブで箱.pmx
に対してray-mmd.1.5.2/Materials/Editor/Standard
にあるmaterial_editor__1.fx
を割り当てたらmaterial_editor_1.pmx
を読み込み次の表の通りに値を設定、登録します。Editor_1
項目名 | 設定値 | 説明 |
Smoothness | 0.350 | なめらかさを上げる |
Metalness | 1.000 | 金属のように見せる |

まずは照明操作パネルでMMDのライトの調整を行います。
次の表の通りに値を設定し、登録ボタンで登録を忘れないよう注意してください。
また、値の設定と登録が完了したらメニューバーの表示>モデル編集時カメラ・照明追従をオンにします。
照明操作
項目名 | 設定値 | 説明 |
X | +0.0 | 照明のX軸の角度 |
Y | -0.1 | 照明のY軸の角度 |
Z | +0.1 | 照明のZ軸の角度 |

ray-mmd-1.5.2/Lighting
にあるDirectionalLight
を読み込み表の通りに値を設定します。角度Xの値を変更した際はボーン操作パネルの登録ボタンをクリックしてください。
DirectionalLight
項目名 | 設定値 | 説明 |
角度X | 21.4 | X軸の角度 |
R+ | 0.300 | ライトのRGBのR成分を調整 |
G+ | 0.300 | ライトのRGBのG成分を調整 |
B+ | 0.300 | ライトのRGBのB成分を調整 |
Intensity+ | 0.110 | ライトの強度を調整 |
Hardness | 1.000 | ライトの影の硬さを調整 |

影を描画する
初期の状態ではDirectionalLightの影は出ないので、影が出るように設定しましょう。
MMEのウインドウで
LightMap
タブを選択しDirectionalLight.pmx
に対しray-mmd-1.5.2/Lighting/DirectionalLight/Default
にあるdirectional_lighting_with_shadow.fx
を割り当てます。これでモデルにDirectionalLightによる影が描画されるようになりましたね。
もし影が表示されない場合はボーン操作パネルの選択ボタンが選択されていないか確認し、選択解除状態にしてください。

次にモデルを後ろから照らしブルームを表現するためにSpotLightを読み込みます。
ray-mmd-1.5.2/Lighting
にあるSpotLight.pmx
を読み込み表の通りに値を設定します。ボーン位置X~角度Zまで値を設定したらボーン操作パネルの登録ボタンで変更を登録しましょう。
他の項目については表情操作パネルの登録ボタンを各項目を設定するごとにクリックします
SpotLight
項目名 | 設定値 | 説明 |
ボーン位置X | -1.0 | ライトの位置を調整 |
ボーン位置Y | 26.50 | ライトの位置を調整 |
ボーン位置Z | 6 | ライトの位置を調整 |
角度X | 82.6 | ライトの角度を調整 |
角度Y | 180 | ライトの角度を調整 |
角度Z | 180 | ライトの角度を調整 |
R+ | 0.500 | ライトのRGBのR成分を調整 |
G+ | 0.500 | ライトのRGBのG成分を調整 |
B+ | 0.500 | ライトのRGBのB成分を調整 |
Range- | 0.740 | ライトの距離を狭くする |
Angle+ | 1.000 | ライトの範囲を広くする |
Intensity+ | 1.000 | ライトの強度を上げる |
AttenuationBulb+ | 1.000 | ライトの強度をすごく上げる |
Hardness | 1.000 | ライトの影の硬さを調整 |
影を描画する
SpotLightも初期の状態ではDirectionalLight同様影は出ないので、影が出るように設定しましょう。
MMEのウインドウで
LightMap
タブを選択しDirectionalLight.pmx
に対しray-mmd-1.5.2\Lighting\SpotLight\Default
にあるspot_lighting_with_shadow_very_high.fx
を割り当てます。もし重い場合は
spot_lighting_with_shadow_low.fx
を割り当ててみてください。
これはちょっとした小技ですが、服の黒い部分に割り当てた
material_cloth__2.fx
を調整するCloth_2でsmoothness
の値を0.640
に設定したためRay-MMDのライトを反射して光の筋のようなものが描画されています。試しにモデル操作パネルでDirectionalLightを選択し同パネル内にある表示のチェックを外してみます。
するとDirectionalLightの光の反射がなくなったことがわかりますね。
ここでは追加のDirectionalLightを読み込み光の筋をもう1本増やしてみることに します。
ray-mmd-1.5.2/Lighting
にあるDirectionalLight.pmx
を読み込み次の表通りに値を設定します。
DirectionalLight
項目名 | 設定値 | 説明 |
角度Y | -64.7 | ライトの角度を調整 |
R+ | 0.150 | ライトのRGBのR成分を調整 |
G+ | 0.150 | ライトのRGBのG成分を調整 |
B+ | 0.160 | ちょっとだけ光を青くする |
Intensity+ | 0.210 | ライトの強度を上げる |
これで先ほどよりもスーツの光沢感が上がりましたね。
影を描画する
最初に読み込んだDirectionalLight同様影が描画されるよう設定しましょう。
LightMap
タブを選択しDirectionalLight.pmx
に対しray-mmd-1.5.2/Lighting/DirectionalLight/Default
にあるdirectional_lighting_with_shadow.fx
を割り当てます。これでモデルにSpotLightによる影が描画されるようになりました。
影が表示されない場合はボーン操作パネルの選択ボタンが選択されていないか確認し、選択状態を解除してください。

Step 4にてDirectionalLightで影を描画するようにしたため白目部分に影ができてしまっています。
ここではAutoLuminousというエフェクトを使用して瞳と白目の明るさを調整することにします。
まず
AutoLuminous4
にあるAutoLuminous.x
を読みこみます。初期の状態ではあまりにも眩しいためアクセサリ操作パネルで値を調整します。
値を設定したら登録ボタンで変更を登録するのを忘れないでください。
項目名 | 設定値 | 説明 |
Si | 0.0350 | AutoLuminousの効果の強度を下げる |
Tr | 0.00 | AutoLuminousの発光をにじませない |

次に白目の調整を行うため
AutoLuminous.x
をもうひとつ読みこみ表通りに設定します。項目名 | 設定値 | 説明 |
Si | 0.200 | AutoLuminousの効果の強度を下げる |
Tr | 0.000 | AutoLuminousの発光をにじませない |

現在の状態では2つのAutoLuminousの効果がが瞳と白目に二重にかかっているのでそれを解決します。
今回はひとつめのAutoLuminousは瞳用、ふたつめは白目用のものとします。
まずMMEのウインドウでひとつめの
AL_EmitterRT
タブで材質2: 白目
をダブルクリックしfxファイルを割り当てるウインドウでAutoLuminous4\Options
に移動し開くボタンの上にあるセレクトボックスでfxファイルを全てのファイルに切り替えてfxファイル以外も表示するようにします。すると
AL_BlackMask.fxsub
というファイルが見つかるのでこれを選択して割り当てます。同様の手順でふたつめの
AL_EmitterRT
タブで材質4: 瞳
にAL_BlackMask.fxsub
を割り当てます。
現在はRay-MMDの後にAutoLuminousの効果がかかっているため少々明るすぎる気がします。
また、現在のアクセサリ順では暗所なのにAutoLuminousの効果がかかっている部分だけ明るすぎて浮くといった現象が起こることがあるのでそういった問題を解決/予防します。
メニューバーの背景>アクセサリ編集で2つあるAutoLuminous.xをray.xの上に移動させます。
次の順になっていれば大丈夫です(AutoLuminousはどっちが上でもOK)

白目のSSAOを消す
最後に
SSAOMap
タブで材質2: 白目
にray-mmd-1.5.2\Shadow
にあるSSAO visibility 0.0.fx
を割り当てます。あまり変わりないですが、多少白目が暗くなくなりましたね。

ここからはステージにライトやスクリーン、モニタの枠を配置していきます。
まずは
ライトとスクリーンまとめ/ライト
にある横ライト2.pmx
を読み込み次の表通りに設定します。それが終わったら
MaterialMap
タブで横ライト2.pmx
にはray-mmd-1.5.2\Materials\Emissive\Fixed Color x1
にあるmaterial_albedo_x1.fx
を割り当てます。横ライト2
項目名 | 設定値 | 説明 |
ボーン位置Y | 8.05 | ライトを少し上に移動 |
ボーン位置Z | 153.10 | ライトを奥に移動 |
拡大 | 0.100 | ライトを若干大きくする |
次に
ライトとスクリーンまと め\モニタオブジェ\配置
にある▽モニタオブジェ.pmx
を読み込みます。これは枠だけなので同フォルダにある
▽モニタオブジェ_スクリーン(AL104).x
も読み込みましょう。そうしたら、メニューバーの背景>ON・モード1を選択しスクリーンが映っていることを確認します。
次にステージ反対側に大きいモ ニタを配置していきます。
ライトとスクリーンまとめ\モニタ
にある大モニタ枠.pmx
を読み込み表通りに設定します。大モニタ枠
項目名 | 設定値 | 説明 |
ボーン位置Z | -180 | ボーンの位置を調整 |
角度Y | 180 | モニタ枠を180度回転させる |
次に同フォルダ内にある
大モニタ_スクリーン(AL103).x
を読み込み表通りに設定します。アクセサリの数値はモデル操作パネルでカメラ・照明・アクセサリを選択した際に右側にあるアクセサリ操作パネルで設定し、数値を変更したら登録ボタンをクリックするのを忘れないでください。
大モニタ_スクリーン(AL103)
項目名 | 設定値 | 説明 |
Z | -180 | スクリーンを後ろに配置する |
Ry | 180 | スクリーンを180度回転させる |
現時点では横ライト2やモニタオブジェの影がグレーになっており、影が正常に描画されていません。
これは
Main
タブで適切なfxファイルを割り当てていないためなのでMMEのウインドウを開きましょう。Main
タブを選択し横ライト2.pmx
、▽モニタオブジェ.pmx
、▽大モニタ枠
にmain.fx
を割り当てます。これで影が正常に描画されるようになりましたね。

Ray-MMDのライト同様フォグにも様々な種類がありますが今回は2種類のFogを使用することにします。
私自身まだFogにはあまり詳しくないのですが、これを用いることで空気感の表現等が可能になります。
このFogは広い範囲にかかるもので全体にFogをかけたい場合に用いることができます。
ray-mmd-1.5.2/Fog
にあるAtmosphericFog.pmx
を読み込み次の表の通りに値を設定します。AtmosphericFog
項目名 | 設定値 | 説明 |
RayleighH+ | 0.980 | Rayleigh(謎)のHSVのH成分を上げる |
RayleighS+ | 0.510 | Rayleigh(謎)のHSVのS成分を上げる |

このFogはWidth、Height、Depthで指定した範囲にFogをかけることができます。
局所的にFogをかけたい場合に役立つでしょう。
ray-mmd-1.5.2/Fog
にあるVolumetricCuve.pmx
を読み込み次の表の通りに値を設定します。ボーン位置Zを設定した際はボーン操作パネルで登録してください。
VolumetricCube
項目名 | 設定値 | 説明 |
ボーン位置Z | 22.0 | Fogの位置を調整する |
Width+ | 0.960 | Fogの幅を 調整する |
Height+ | 0.600 | Fogの高さを調整する |
Depth+ | 1.000 | Fogの奥行きを調整する |
Intensity- | 0.600 | Fogの強度を下げる |

このステップでは一気に「っぽい」雰囲気を作っていきます。
その前にまずはStep 3で
箱.pmx
に割り当てたmaterial_editor__1.fx
を少し書き換えます。お好きなテキストエディタ(私はVS Code使用)で
ray-mmd-1.5.2\Materials\Editor\Standard
にあるmaterial_editor__1.fx
を開いたら83行目を次のように書き換えます。これによりステージが若干暗くなりましたね。
書き換え前
const float occlusion = 1.0;
書き換え後
const float occlusion = 0.5; // 1.0

Ray-MMDにはScreen Space Reflectionという機能があり、これを利用することで風景の反射が可能になります。
ただ仕組み的にモデルの裏側や見えていない部分を反射はしませんが雰囲気づくりには十分でしょう。
デフォルトでは無効になっているのでRay-MMDの設定ファイルである
ray.conf
を書き換えます。その前にここまでのデータをpmmファイルとして適当な名前で保存しておきましょう。
ray.confを書き換える
ray.conf
はray-mmd-1.5.2
フォルダにあり、今回書き換えるのは58行目となります。今回は最もサンプル数の高い
3
にしますが、もし負荷が重い場合は1
でも構いません。書き換え前
#define SSR_QUALITY 0
書き換え後
#define SSR_QUALITY 3 // 0

ray.conf
を書き換え風景が反射するようになりましたがモデルはほとんど反射していません。先述したようにSSRには限界があるので今回は
WorkingFloorAL_v007
を用いてそれっぽく見えるようにしましょう。WorkingFloorAL_v007
にあるWorkingFloorAL.x
を読みこみます。初期の状態ではRay-MMDの効果がかかっている上部分とそうでない反射部分の差が目立つので反射を下げます。
アクセサリ操作パネルで
Tr
の値を0.20
にし登録ボタンで変更を登録しましょう。
今回はDOFエフェクトとしてLiteDOFを用いることにします。
Ray-MMDにもDOFはありますが過去の記事で使ったのでたまには他のを使うのもよいでしょう。
LiteDOF_v3
にあるLiteDOF.x
とLiteDOFCtrl.pmx
を読み込み次の表の通りに値を設定します。また、LiteDOF.xの
Si
の値は2.000
にしぼかしを強くします。LiteDOF ctrl
項目名 | 設定値 | 説明 |
ピント距離+ | 0.480 | よくわかりません...(READMEを読んで!) |
前ボケOFF | 1.000 | よくわかりません...(READMEを読んで!) |

このStepまでに様々なライトやFog、LiteDOFのコントローラ等を読み込みましたが画面に映っている必要はありませんね。
このステップではそれらを非表示にしていきます。
DirectionalLightやSpotLightを追加した際に表示される球は
Main
タブとMaterialMap
タブの両方でチェックを外すと非表示にすることができます。ただそれだけではそれら球体の影は描画されたままなので
PSSM1
~PSSM4
タブでも同様にDirectinalLight.pmx
が2つ、SpotLight
のチェックを外すことを忘れないでください。